示談交渉が難航している
刑事事件で、逮捕や勾留を回避したり、不起訴にしてもらうには、被害者との示談を成立させることが大切です。しかし、被害者が示談交渉に応じなかったり、示談金などの示談の条件で難航したりすることもあります。
示談交渉が難航するケースや示談交渉が難航している場合の対処方法について解説します。
刑事事件の示談交渉は被害者の出方次第
刑事事件の示談は、加害者が被害者に対して謝罪し、被害者が許した場合に成立が見込めます。
逆に言えば、被害者が謝罪を受け入れなかったり、許していない場合は、示談交渉が難航します。
被害者が交渉を受け入れない場合は、示談することが難しくなり、示談が不成立になってしまいます。
刑事事件の示談が不成立となった場合のリスク
刑事事件の示談は、主に次のような目的で行います。
- 逮捕前なら逮捕を回避する目的で行う。
- 逮捕後は勾留回避、早期釈放を目的に行う。
- 送検後は不起訴を目的に行う。
- 起訴後は刑罰の減軽、執行猶予付き判決を目的に行う。
いずれの場面でも、被害者との示談を成立させているかどうかが大きなポイントになります。
また、示談には、民事上の補償もまとめて行うことで、刑事訴訟とは別に民事訴訟を起こされることを防ぐ意味もあります。
示談が不成立になるケースとは?
刑事事件の示談が不成立になるケースは主に次のような場合です。
- 被害者が連絡を拒否している場合
- 被害者の処罰感情が強い場合
- 示談の条件で折り合えない場合
- 示談金を支払えない場合
一つ一つ確認しましょう。
なお、私の担当経験からすれば、弁護士限りでも連絡先を一切教えないといったケースを除き、何らかの形で被害者側と交渉を開始できた場合、示談が成立することは非常に多いです。統計を正確にとったわけではありませんが、肌感覚では示談成立の割合が9割5分を超えます。
被害者が連絡を拒否している場合
被害者の連絡先が分からない場合、まず、被害者の連絡先を知ることから始めなければなりません。
被害者の連絡先を把握しているのは、警察や検察などの捜査機関です。
警察や検察に聞けばわかるわけですが、加害者本人が問い合わせても教えてくれることはありません。
このような場合は、弁護士に示談交渉を依頼し、弁護士から問い合わせてもらう必要があります。
ただ、弁護士が問い合わせても、警察や検察は無条件で被害者の連絡先を教えるわけではありません。被害者側に、加害者の弁護士に教えてよいか確認するのが一般的です。
被害者が連絡先を教えることを拒否している場合は、示談交渉に取り掛かることすら難しくなります。
被害者の処罰感情が強い場合
被害者が加害者である被疑者に対する強い憎しみや怒りの感情を抱いている場合は、示談交渉を行うこと自体難しいです。
連絡先すら教えないこともありますし、連絡先を知っている場合でも、門前払いとなることが多いでしょう。
前述のとおり、弁護士に会うことすら拒絶している場合は、示談交渉に取り掛かることも難しいものです。
ただ、弁護士限りで被害者が連絡先を教えてもらえるケースも多く、そのようなケースでは示談が実現することが非常に多いです。
示談の条件で折り合えない場合
被害者との示談交渉を開始したものの、示談の条件で一致ができず、示談不成立となるケースは極めて稀です。しかし、実際にそのような不成立ケースがあるのも事実です。
主な示談の条件は次のとおりです。
- 犯罪の事実を認めた上で、加害者が被害者に謝罪する。
- 加害者が被害者の被った損害を賠償し慰謝料を支払う(示談金)。
- 被害者が加害者の処分に関して意見を述べる。具体的には被疑者を許す、処分を求めない等の意見です。
- 被害者が告訴を取り下げる、又は被害届を出さない意思を示す。
- この示談に定める内容以外の一切の債権債務がないことを確認する(清算条項)。
- 示談内容を口外しない旨を約束する(守秘義務)。
- その他、事案に応じた条件の設定(例:接触禁止など)。
こうした示談の条件について双方で折り合えず示談交渉が難航する場合でも、最終的には示談が成立となった実績が数多くあります。
示談金を支払えない場合
示談金は、軽微な事件でも、決して安くはなく、数十万円程度は必要になることが多いです。
事件別の主な相場は、是非お問合せください。もっとも、相場はあくまで相場であり、個別の交渉によって高くもなりますし、低くもなります。相場以下の示談成立実績も数多くあります。
示談金は一括払いが原則になることもありますが、分割払いでの示談成立実績もあります。刑事処分を見据えれば、示談成立がまず最優先です。そのうえでできるだけ被害者側に示談金が手に渡る方がいいです。その意味で分割対応するにしても、頭金の提案をすることはあります。
示談交渉が難航、示談が不成立になった場合の対処方法
示談交渉が難航している場合や示談が不成立になった場合はどう対処すべきなのでしょうか。
被害者が一度示談交渉に応じない場合でもまだチャンスはあります。
警察を通じて被害者が示談交渉に応じない場合でも、事件記録が検察官に送致された後、検察官を通じて再度被害者に示談交渉を打診した場合に示談が実現したケースは少なくありません。
供託を行う
適切な示談金額を提示しているのに、被害者側が受け取りを拒否している場合は、法務局に供託する方法もあります。
供託した場合は、示談には及びませんが、被害弁償の意思が明らかになるため、刑事処分が軽くなる可能性があります。
贖罪寄付を行う
被害者が示談交渉自体を拒絶していて、供託しても意味がない場合は、代わりに弁護士会や社会福祉団体などに贖罪寄付することも検討しましょう。
例えば、弁護士会に贖罪寄付した場合は、その証明を出してもらえるため、検察や裁判所に提出することで、刑罰を軽くしてもらえる可能性があります。
まとめ
刑事事件の示談交渉で難航するケースやその場合の対象方法について紹介しました。
示談交渉は、加害者自身が行おうとしても、被害者が受け入れてくれないですし、様々なリスクを伴います。
被害者との示談交渉を行いたい場合は、必ず、刑事弁護に詳しい弁護士にご相談ください。

